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更新日:2016年11月20日

宇陀市行政改革大綱

 (平成18年12月策定)

目次

はじめに

第1章:宇陀市行政改革大綱の策定にあたって

  1. これまでの行政改革の検証
  2. 宇陀市としての行政改革の基本方針
  3. 宇陀市の財政に関する考え方

第2章:行政改革への取り組み

  1. 行政改革の推進体制
  2. 行政改革を進めるための具体的方策

おわりに

 はじめに

わが宇陀市は、平成18年1月1日、大宇陀町・菟田野町・榛原町・室生村の4ヶ町村の合併により誕生しました。この合併には大きく4つの背景がありました。一つは地方分権推進により、地方公共団体の自主性と個性ある多様な行政施策を展開させるための、一定の規模・能力(権限、財源、人材)を備える必要性があること。二つめには今後、本格的な少子高齢化時代の到来による、自治体が提供するサービス水準の確保。三つめは人々の日常生活圏の拡大に伴い、市町村の区域を超えた行政需要が増大し新たな対応が求められていること。四つめは国、地方を通じて、極めて厳しい財政状況の下、より一層簡素で効果的な行財政運営が求められており、さらなる行政改革の推進が必要とされていることなどであります。

上記のなかでもとくに、行財政改革については重要課題として、旧4ヶ町村でも、財政危機の克服と、地方分権の時代にふさわしい簡素で効率的な行政システムを確立すべく、行政改革の具体的な取り組みを展開してきました。

そしてまた、市町村合併はその大きな打開策の一つであり、国全体で多くの自治体が選択した手段でもあり、宇陀市も多くの困難を乗り越え合併するに到りました。

しかし、合併が実現した今日でも依然として行財政状況は厳しく、さらに深刻さは増しています。

現代においては、それぞれの生活を向上させることだけではなく、ひとり一人の人権が尊重され、お互いを認め、尊び、守りあい、誰もが安心して暮らせる社会の実現が求められています。そのためには、住民主体の自治力を発揮できる個性が輝く地域づくりに向けた取り組みが必要です。

そこで宇陀市の課題としては広域基礎自治体として、将来的な安定基盤の形成はもちろんのこと、新しい社会への的確な対応が不可欠であります。

そしていま、宇陀市として、今日まで培ってきたそれぞれの地域の歴史や文化をより一層慈しみ、この地に生きる人々の郷土を、永遠に栄え続けさせるための行政の抜本的な経営改善が求められています。これらの課題解決の一層の前進を図り、実効させるねらいをもって「宇陀市行政改革大綱」を定めるものであります。

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 第1章・宇陀市行政改革大綱の策定にあたって

 1.これまでの行政改革について

平成9年11月、国からの「地方自治・新時代に対応した地方公共団体の行政改革推進のための指針」では、地方分権の推進のため、経営感覚に立脚した体質の強化が必要とされました。規制緩和や事業の合理化、簡素効率化など、自主的・計画的に行政改革を推進するよう示されました。

つづく、三位一体の改革では、地方交付税や国庫補助金の削減が行われ、地方分権はきわめて厳しい財政状況のもと進められてきました。

そして、平成16年12月には「今後の行政改革の方針」として、行政と住民の関係を見直す、新たな行政システムの構築が示されました。地方自治体は国の保護から離れ、住民との対話を深めながら、行政のあり方を模索し続けることとなりました。

さらに、平成17年3月の「地方公共団体における行政改革の推進のための指針」では、地方公共団体の果たすべき役割を見直し、行政が提供してきたサービスを、地域の多様な主体で担う新しい社会のしくみづくりが望まれています。

旧4ヶ町村でも、それぞれ以下のような視点をもち、不断の行政改革を進めてきました。

  1. 事務・事業の見直し
  2. 時代に即応した組織・機構の見直し
  3. 定員管理の適正化
  4. 効率的な行政運営と職員の能力開発
  5. 行政の情報化の推進等による行政サービスの向上
  6. 行政と住民の協働推進

各町村とも、多様化する行政のニーズに対応していくため、財政の健全化を図り、簡素で効率的な行政システムを確立し、地域の活性化をめざしてきました。

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 2.宇陀市としての行政改革の基本方針

 (1)行政改革の基本的な視点

合併により、広域的な行政体となった現在、地方分権の時代にふさわしい自主的かつ自立的な行政運営、簡素で効率的な行政システムの構築が望まれています。また、単独の町村のみの取り組みでは、限界あるさまざまな課題に、一体的・総合的に対応することが求められています。

次章の「行政改革を進めるための具体的方策」では、宇陀市がこれらの課題に対し、より積極的に取り組み、発展できる力を育むために改革すべき項目が掲げられています。

ところが、税収の著しい減少や、三位一体改革による国庫補助金及び地方交付税の削減、多様化する行政需要への対応は、財政を逼迫させ、新たなスタートを切ったばかりの宇陀市の取り組みを、消極的なものにさせています。

このような状況のもと、何よりもまず、財政危機を脱却することが急務といえます。そのうえで、住民との協働による新しいまちづくりに取り組むことを、今回の行政改革の基本方針とし、大綱を策定いたします。

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 (2)行政改革大綱の期間

この行政改革大綱は、平成18年度から平成21年度までの4年間を対象とし、実施計画に基づき、改革を具体的に進めるものです。

また、国の「地方公共団体における行政改革の推進のための指針」(平成17年3月29日)により、改革項目についての数値目標を明らかにするため、集中改革プランの公表を行います。

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 (3)取り組みの検証

行政改革大綱を進めるための具体的方策の各項目ごとに実施計画を作成し、実行に移します。そして、それぞれの取り組みが進んでいるか、効果が現れているかを検証し、取り組みそのものも改善しながら、改革を進めていきます。

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 3.宇陀市の財政に関する考え方

 (1)財政状況について

合併により、財政規模が拡大し、広域的な経営による効果が望まれるところですが、以下のとおり、極めて厳しい財政状況におかれています。

歳入面においては、地方交付税が平成12年度をピークとして、毎年5億円ベースで減少し、平成17年度は、約80億円となり、約20億円削減されています。税収においても、年間約5千万円ずつ減少し、平成17年度決算では、約30億円となり、この5年間で約3億円の減収となっています。三位一体改革により税源移譲がなされるものの、今後は団塊の世代の大量定年退職期を控え、税収の伸びは期待できません。

基金についても、これまでの財源不足を補ってきた結果として、現金にして約1億円の残高となっています。毎年度、基金より約15億円の取り崩しを行ってきましたが、来年度からはそれさえ不可能な状態です。

このほか、地方譲与税、交付金は毎年度約9億円、臨時財政対策債約6億円、各種国県補助金を約12億円とし、市が見込める毎年度の収入は、約150億円です。
歳出面においては、平成17年度決算で、公債費は37億円となり、税収(約30億円)を超える額になっています。また、平成19年度には約38億円を見込んでいます。扶助費は、約14億円となっていますが、著しく高齢化が進む本市では、増加の傾向が強く、抑制は困難と考えられます。人件費を含めたこれら義務的経費だけで、約100億円は最低限必要な額です。これらのほか、経常的に必要な経費を含めると、市の経営には年間約163億円を要します。

以上のように、毎年度約13億円の財源不足が予想され、たちまち、財政再建団体に陥りかねない危機的状況にあります。

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 (2)財政健全化に向けて

前述のとおり、本市の財政は、通常の経営にも支障をきたす状況で、新市のまちづくりにとりかかることは非常に困難な状態です。

再度、行政経営のひとつ一つを、合理的であるか、効率的であるか見直し、住民に必要な事業が何なのかを、徹底的に議論すべきです。そして、計画的な事業運営を、全体の合意により進めることが必要です。

まずは、平成18年度、19年度でできるかぎりの歳出削減を行い、財政収支の均衡を保つこと。
そして、住民の生活を向上させる事業を優先させるという方針により、徐々に財政の健全化を図って行きます。

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 第2章・行政改革への取り組み

 1.行政改革の推進体制

市長を本部長とする「宇陀市行政改革推進本部」を中心として、「幹事会」および「ワーキングチーム」での議論をもとに、行政改革の推進案を作成し、「行政改革推進懇話会」の答申を受け、行政改革大綱を策定いたします。

【諮問】

行政改革推進本部

行政改革推進懇話会

【答申】

本部長:市長

 

 

副部長:助役・教育長

 

市議会・公共的団体等の代表者

本部員:区長・区次長

 

学識経験者、その他の方々

部長・公営企業

 

 

市のめざすべき方向を考え、行政改革を推進します。

 

市民の代表者として、行政と協働し、改革を推進できるよう審議します。

 

↓↑

 

 

 

 

 

幹事会

 

 

 

各課長

 

 

 

行政の各分野のリーダーとして行政改革の課題を審議します。

 

 

 

 

 

↓↑

 

 

 

 

 

ワーキングチーム

 

 

中堅・若手職員による実務部隊

 

 

市民と直接対話する現場の視点で改革の議論を行います。

 

 

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 2.行政改革を進めるための具体的方策

 (1)事務事業の見直し

限られた財源の中で、多様化する住民ニーズに対応するため、事務・事業が市民にとって必要なものなのか、行政が行うべきことなのか、民間に委ねることなのかといった視点に立って見直し・選択を行います。

まず、現状で執行困難な、あるいは重要性の低い事務や事業をはぶき、次段階で行政と住民との協働によるまちづくりに必要とされる事務・事業を追求していきます。

1.事務・事業評価の導入

事務や事業について、目的、意義、成果などを点検・評価します。
効率性、合理性、必要性を検証し、経費節減に努めます。

2.現行・計画事業の見直し

新市まちづくり計画事業や合併前より継続する事業について、再度見直しを行います。
新規事業は、その必要性・緊急性等について検討を行い、抑制します。
市単独で行っている個人に対する給付事業について、抑制します。
各種のイベントについては、縮小・統合・廃止を行い、地域や団体主導型の運営を推進します。

また、各種補助金等については、市の関与のあり方、事業目的の達成度等を精査し、補助基準を明確にし、抑制を図ります。

3.施設の管理運営見直し

公共施設等の設置目的や管理運営方法を検証し、効率的・効果的な運営に向けた見直しを行い、利用の促進と有効活用を図ります。
また、民間委託(指定管理者制度の導入など)できるものは、それを推進します。

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 (2)組織・機構の改革

多様化する住民ニーズや社会経済情勢の変化に対応でき、市民が利用しやすく、わかりやすい、簡素で効率的な組織・機構の整備を進めます。
また、自主的かつ自立的な経営と、非常時に即応できる組織・機構の構築を目指します。

1.組織の見直し及び機構の再編

肥大化した組織の再編を行い、効率的かつ効果的に事務・事業を処理し、市民のニーズや地方分権時代における新たな行政課題に、適正・迅速に対応できるようにします。
また、宇陀市として、将来を見据えた組織・機構づくりを進めます。

2.公共的団体組織等の見直し

宇陀市における公共団体組織等の統合・再編を進め、効率的な運営を促します。

3.公営企業及び第3セクターの経営について
公営企業については、サービスの必要性や経営状況等を見直し、民間的経営手法を導入する等、経営の健全化を図ります。

第3セクターについては、点検評価を充実・強化し、行政負担の見直しを行い、経営の改善を図ります。

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 (3)財政の健全化

前章でも述べたとおり、財政は危機的な状況にあります。まずは財政状況を公表し、住民の理解と協力のもと、自主財源の確保につとめ、事務・事業の見直しによる徹底的な経費削減を行い、財政基盤を安定させます。

そして、宇陀市の将来像を見据え、定住促進につながる施策を推進し、増収を図っていきます。

1.市税・使用料等の徴収率の向上

市民のニーズに幅広く対応するためには、市税や使用料の収入確保が不可欠であることから、納税義務の認識を深め、自主納税、自主納付を促進します。

税・使用料の納付に消極的な場合には、公正な判断により、徴収の強化を行います。

2.受益者負担の見直し

施設管理・運営の見直しにより、適正な受益者負担となるよう使用料等の見直しを行います。

3.市有財産・施設の有効利用

遊休市有財産は売却し、スクラップアンドビルド(一つ造れば、一つ壊す)の徹底により、財産管理をスリム化します。

また、施設の有償利用も視野にいれ、施設の多角的な活用を図ります。

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 (4)定員の適正化と給与の適正化

対応すべき行政ニーズの範囲、施策の内容および手法を見直し、定員の適正化に取り組みます。
簡素で効率的な組織の再編により、職員数の抑制を図ります。

1.定員管理

組織・機構の見直しや、事務・事業の見直しを進めながら、適正な配置を行い、宇陀市の行政運営に応じた定員管理を進めます。

また、臨時職員の雇用を必要最小限に抑制します。

2.給与の適正化

職員の給与は、社会情勢や財政状況の変化に適応したものとなるよう見直しを行います。

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 (5)住民の協働と行政サービスの向上

これまでの公共サービスは行政が行うものという固定観念を払拭し、民間で行えるものは民間に委ね、公共と民間の協働体制を構築し、地域の住民や民間企業等など多様な主体で担う「新しい公共空間」の形成を推進します。

1.情報提供と情報の共有

住民への説明責任を十分果たし、情報の提供に努めます。また、行政と住民が話し合える場を設け、情報の共有を図り、互いの理解と信頼を高められる体制づくりを進めます。

2.業務等の改善

多様化する住民ニーズに対応できるよう、業務の迅速化や簡素化を図り、わかりやすく、親切な応対に努めます。

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 (6)職員の意識改革

地方分権の時代にふさわしい、市の自主的・自立的な経営を実践し、複雑多様化する住民ニーズに柔軟に対応できる職員の育成を推進し、住民との協働によるまちづくりに取り組んで行きます。

財政の危機的状況を把握し、徹底した経費節減や合理化を進め、財政の健全化に職員が一体となって取り組んでいきます。

1.研修制度の充実

職員の適正や潜在能力を見出し、政策形成能力や創造的能力の向上を図ります。また、経営者の一人であるとの認識をもち、課題に積極的に取り組めるよう研修制度を充実させます。

2.職員の意識改善

職員みずからがその能力を磨き、住民の立場にたった政策の立案や遂行ができるよう啓発し、住民から信頼される職員の育成につながるよう、職員の意識改善を進めます。

また、次世代のリーダーが、積極的に行政経営に参加できる環境整備をします。

そして、人権意識の高揚に努め、魅力ある人間づくりをめざします。

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 おわりに

いま、日本の国は、いずれの自治体も財政危機にあえぎ、より広域的な行政体となることで生き残りの術を模索しています。

財政の健全化はいうまでもなく、簡素で効率的な行政システムの構築、職員の意識改革、そして、住民との協働による新たなまちづくりは、容易に実現できるものではありません。

しかし、宇陀市はめまぐるしく変化する社会の中にあって、この難局を地域と一体となって乗り越え、新たなまちづくりに挑戦していこうとしています。地域の自然とふれあいの豊かさを守り、育みながら、市民とともに住みよい社会をめざし、不断の行政改革を推進していきます。

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お問い合わせ

市長公室行政経営課 

宇陀市榛原下井足17-3

電話番号:0745-82-3632/IP電話:0745-88-9084

ファックス:0745-82-3900

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