○宇陀市政治倫理条例
平成21年6月12日
条例第24号
(目的)
第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、その受託者たる市長、副市長、教育長及び宇陀市介護老人保健施設事業の設置等に関する条例(平成18年宇陀市条例第190号)第2条第2項に規定する介護老人保健施設事業管理者(以下「市長等」という。)並びに市議会議員(以下「議員」という。)が、市民全体の奉仕者として人格と倫理の向上に努め、いやしくもその権限又は地位による影響力を不正に行使して、自己又は特定の者の利益を図ることのないよう必要な措置を定めることにより、市政に対する市民の信頼に応えるとともに、市民が市政に対する正しい認識と自覚を持ち、もって公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(市長等及び議員の責務)
第2条 市長等及び議員は、市民の信頼に値する倫理性を自覚し、市民に対し自ら進んでその高潔性を明らかにしなければならない。
(市民の責務)
第3条 市民は、主権者として自らも市政を担い、公共の利益を実現する自覚を持ち、市長等及び議員に対し、その権限又は地位による影響力を不正に行使させるような働きかけを行ってはならない。
(政治倫理基準)
第4条 市長等及び議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。
(1) 市民全体の代表者として、品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関し不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。
(2) 市民全体の奉仕者として常に人格と倫理の向上に努め、その地位を利用していかなる金品も授受しないこと。
(3) 市及び市が関係する団体が行う工事(下請工事を含む。以下同じ。)の請負契約、業務委託契約及び物品納入契約(以下「請負契約等」という。)に関して特定の業者を推薦し、又は紹介するなど有利な取り計らいをしないこと。
(4) 市職員の公正な職務執行を妨げ、又はその職権を不正に行使するよう働きかけないこと。
(5) 市職員の採用、昇格又は異動に関して推薦又は紹介をしないこと。
(6) 政治活動に関して企業、団体等から寄附を受けないものとし、後援団体についても政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄附を受けないこと。
2 市長等又は議員は、政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、自ら潔い態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにしなければならない。
(請負契約等の辞退)
第5条 市長等及び議員が役員をし、若しくは実質的に経営に携わっている企業又は市長等及び議員の配偶者若しくは1親等以内の親族が経営する企業は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第92条の2、第142条、第166条、第169条及び第180条の5の規定の趣旨を尊重し、市及び市が関係する団体が行う工事の請負契約等を辞退し、市民に疑惑の念を生じさせないよう努めなければならない。
2 前項に規定する実質的に経営に携わっている企業とは、次に掲げるものをいう。
(1) 市長等及び議員が資本金、出資金その他これに準ずるものの3分の1以上を出資している企業
(2) 市長等及び議員がその経営方針又は主要な取引に関与している企業
3 前2項の規定に該当する市長等及び議員は、市民に疑惑の念を生じさせないため、責任をもって関係企業の請負契約等の辞退届を提出しなければならない。
4 前項の辞退届は、市長等及び議員の任期開始の日から30日以内に、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に提出するものとする。
5 議長は、議員に係る辞退届が提出されたときは、その写しを速やかに市長に送付しなければならない。
6 市長は、辞退届の提出状況を広報誌等で速やかに公表しなければならない。
(指定管理者の指定の禁止)
第6条 前条第1項に規定する企業又は市長等及び議員並びにその配偶者若しくは1親等以内の親族が経営をしている企業は、地方自治法第244条の2第3項に規定する指定管理者となることができない。ただし、市長等にあっては、市が資本金その他これに準ずるものの2分の1以上を出資している法人その他の団体を除く。
(宇陀市政治倫理審査会の設置)
第7条 政治倫理に関する必要な事項を調査及び審査するため、地方自治法第138条の4第3項の規定に基づき宇陀市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。
2 審査会は、次に掲げる職務を行う。
(1) 市民の調査請求について必要な調査を行い、意見書を市長に提出すること。
3 審査会の委員は、5人以内とし、審査に関して専門的知識を有する者及び地方自治法第18条に規定する選挙権を有する市民のうちから、市長が公正を期して委嘱する。
4 審査会の委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、任期が満了した場合においても、後任の委員が委嘱されるまでの間その職務を行う。
5 任期の途中で委員が欠けた場合における後任者の任期は、前任者の残任期間とする。
6 審査会の会議は、公開するものとする。ただし、やむを得ず非公開とするときは、委員定数の3分の2以上の同意を必要とする。
7 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。
8 前各項に定めるもののほか、審査会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定める。
(市民の調査請求)
第8条 市民は、市長等及び議員が次のいずれかに違反する疑いがあると認められるときは、地方自治法第18条に定める選挙権を有する者の100分の1以上の連署をもって、これを証する資料を添えて、市長等に係るものにあっては市長に、議員に係るものにあっては議長に調査を請求することができる。
(1) 政治倫理基準に違反する疑いがあるとき。
(2) 請負契約等の辞退及び指定管理者の指定の禁止に違反する疑いがあるとき。
2 議長は、前項の規定により請求があったときは、議員に係る調査請求書及び添付資料の写しを市長に送付するものとする。
4 審査会は、前項の規定により調査を求められたときは、当該調査を求められた日から90日以内に、その調査結果について意見書を作成し、市長に提出しなければならない。この場合において、意見書が議員に係るものであるときは、市長はその写しを議長に送付しなければならない。
5 市長は、前項の規定により意見書が提出されたときは、請求者に対し、その写しを速やかに送付するとともに、市民の閲覧に供する。
6 意見書の閲覧期間は、閲覧開始の日から5年間とする。
(逮捕後の説明会)
第9条 市長等及び議員が、刑法(明治40年法律第45号)第197条から第197条の4までの各条及び第198条に定める罪並びに公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律(平成12年法律第130号)に定める罪その他職務に関連する犯罪(以下「職務関連犯罪」という。)の容疑による逮捕後、引き続きその職にとどまろうとするときは、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に、市民に対する説明会の開催を求めることができる。この場合において、当該市長等又は議員は、説明会に出席し、説明するものとする。
(起訴後の説明会)
第10条 市長等及び議員が、職務関連犯罪の容疑による起訴後、引き続きその職にとどまろうとするときは、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に、市民に対する説明会の開催を求めなければならない。この場合において、当該市長等又は議員は、説明会に出席し、説明しなければならない。
3 前項の開催請求は、逮捕後の説明会にあっては起訴又は不起訴の処分がされるまでの間に、起訴後の説明会にあっては起訴された日から50日以内に、市長等に係るものにあっては市長に、議員に係るものにあっては議長に対し行うものとする。
4 議長は、前項の規定により請求があったときは、議員に係る開催請求書を速やかに市長に送付しなければならない。
5 市長は、説明会の開催の適否について、あらかじめ審査会の意見を聴かなければならない。
(有罪判決後の説明会)
第11条 前条の規定は、市長等及び議員が職務関連犯罪により有罪判決の宣告を受け、なお引き続きその職にとどまろうとする場合に準用する。ただし、開催請求の期間は、判決のあった日から30日を経過した日以後20日以内とする。
(刑の確定後の措置)
第12条 市長等及び議員が職務関連犯罪により有罪判決の宣告を受け、その刑が確定したときは、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第11条第1項の規定により失職する場合を除き、当該市長等又は議員は、市民全体の代表者としての品位と名誉を守り、市政に対する市民の信頼を回復するため、辞職手続をとるものとする。
(委任)
第13条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(平成24年条例第32号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成25年4月1日から施行する。