○宇陀市男女共同参画推進条例

令和2年12月25日

条例第36号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第9条)

第2章 基本的施策(第10条―第18条)

第3章 宇陀市男女共同参画審議会(第19条―第26条)

第4章 補則(第27条)

附則

全ての人が、性別にかかわらず、個人としての尊厳が重んぜられ、それぞれの個性や生き方を認め合い、共に支え合う社会の実現は、市民一人一人の願いである。

国連では「持続可能な開発目標(SDGs)」が提唱され、到達目標の一つにジェンダーの平等と女性の能力強化を盛り込み、世界共通の目標として掲げられた。

国においては、個人の尊重と法の下の平等がうたわれている日本国憲法の下、国際社会における取組とも連動しつつ、男女平等の実現に向けた様々な取組が着実に進められてきた。

本市においても、人と人との結び付きや絆を大切にするとともに、全ての人の幸せを願い、男女共同参画社会の実現に向けて様々な取組を進めてきたところである。

しかしながら、性別により固定的な役割を決めてしまう意識やこれに基づく社会における制度又は慣習は今なお存在しており、職場や地域等の組織の意思決定過程において、女性の参画が少ない状況があるとともに、職業生活を希望する女性にとって、家庭生活との円滑かつ継続的な両立が困難な現状がある。加えて、少子高齢化の進展や家族、地域社会の変化等、急速な社会や経済情勢の変化への対応も求められている。

こうした状況を踏まえ、宇陀市は、男女が互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、ジェンダー平等が達成され、誰もが人生の選択肢を増やすことができ、自らの個性と能力を十分に発揮できるようにするため、そしてそれが当たり前の社会である男女共同参画社会を実現させるため、この条例を制定するものである。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、市、市民、事業者及び教育関係者の責務を明らかにするとともに、市の男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的事項を定めることにより、男女共同参画を推進し、もって男女共同参画社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 性別にかかわらず、全ての人が社会の対等な構成員として、自らの意思により社会のあらゆる分野における活動に参画できる機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。

(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(3) 市民 市内に居住し、又は通勤し、若しくは通学する者をいう。

(4) 事業者 市内において事業活動を行う法人その他の団体及び個人をいう。

(5) 教育関係者 市内において、学校教育、社会教育その他の教育に携わる者をいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画は、次に掲げる事項を基本理念として推進されなければならない。

(1) 全ての人が、性別にかかわらず、個人としての尊厳が重んぜられ、性別による差別的取扱いを受けることなく、様々な場面で個人としての能力を発揮できる機会が確保され、平等・対等な立場が保障されること。

(2) 全ての人が、性別による固定的な役割分担意識に基づく社会における制度又は慣行にとらわれることなく、社会における活動の自由な選択に対し影響を及ぼすことがないよう配慮されること。

(3) 全ての人が、社会の対等な構成員として、社会のあらゆる分野における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。

(4) 家族を構成する人が、性別にかかわりなく互いの個性を尊重し、相互の協力と社会の支援の下に、家事、育児、介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるようにすること。

(5) 全ての人が、互いの性及び身体的特徴を理解し、妊娠、出産等、性と生殖に関して個人の意思が尊重され、生涯にわたり健康な生活を営むことができること。

(6) 男女共同参画の推進は、国際社会における取組と密接な関係を有していることに鑑み、国際的な視野をもって行われること。

(市の責務)

第4条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、実施しなければならない。

2 市は、男女共同参画の推進に当たり、市民、事業者、教育関係者並びに国及び他の地方公共団体と連携し、協力して取り組まなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、男女共同参画についての理解を深め、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において男女共同参画の推進に努めなければならない。

2 市民は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し誰もが共同して参画することができる機会の確保と体制の整備に努めなければならない。

2 事業者は、雇用する労働者がワーク・ライフ・バランス(誰もがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野においても、多様な生き方を選択することができることにより、仕事と生活の調和が図られることをいう。)を実現できる職場環境の整備に努めなければならない。

3 事業者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(教育関係者の責務)

第7条 教育関係者は、男女共同参画の形成に果たす教育の重要性に十分配慮し、それぞれの教育本来の目的を実現する過程において、基本理念にのっとった教育を行うよう努めるものとする。

2 教育関係者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(性別に起因する人権侵害の禁止)

第8条 何人も、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、性別に起因する差別的取扱い並びに性的指向及び性自認による差別を行ってはならない。

2 何人も、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、セクシュアル・ハラスメント(相手の意に反した性的な言動により不快感を与え、その者の尊厳を傷つけ、就業環境その他の生活環境を害し、又は性的な言動を受けた者の対応により当該者に不利益を与えることをいう。)、ドメスティック・バイオレンス(配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この項において同じ。)、配偶者であった者、パートナーその他親密な関係にある者に対する身体的、性的、精神的、経済的及び社会的な暴力をいう。)その他の性別に起因するあらゆる人権侵害を行ってはならない。

(公衆に表示する情報に関する留意)

第9条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担意識及び男女間の暴力的行為を助長し、又は連想させる表現を用いないよう努めなければならない。

第2章 基本的施策

(男女共同参画計画)

第10条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「男女共同参画計画」という。)を策定しなければならない。

2 市長は、男女共同参画計画を策定し、又は変更するに当たっては、市民、事業者及び教育関係者の意見を反映されるよう必要な措置を講ずるとともに、第19条に規定する宇陀市男女共同参画審議会の意見を聴かなければならない。

3 市長は、男女共同参画計画を策定し、又は変更したときは、これを公表しなければならない。

(施策の策定等に当たっての配慮)

第11条 市は、あらゆる施策の策定及び実施に当たっては、男女共同参画の推進に配慮しなければならない。

(情報収集及び調査研究)

第12条 市は、男女共同参画の推進に関する施策を効果的に実施するため、情報収集及び調査研究を行うものとする。

(実施状況の報告)

第13条 市長は、男女共同参画計画に基づいた施策の実施状況について、報告書を作成し、これを公表しなければならない。

(積極的改善措置)

第14条 市は、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野における活動において男女間に参画する機会の格差が生じている場合には、積極的に当該格差を改善するための措置を講ずるよう努めなければならない。

2 市長その他の執行機関は、その設置する附属機関等の委員の委嘱又は任命に当たっては、男女の委員の数の均衡を図るよう努めなければならない。

(広報及び啓発)

第15条 市は、男女共同参画の推進に関し、市民、事業者及び教育関係者の理解を深めるための広報及び啓発に努めるものとする。

(家庭生活における活動と他の活動との両立支援)

第16条 市は、家族を構成する人が互いの協力のもと、家事、育児、介護その他の家庭生活における活動と職場、学校、地域その他の家庭以外の社会のあらゆる分野における活動とを両立できるよう、必要な支援の実施に努めるものとする。

(市民等の活動に対する支援)

第17条 市は、市民、事業者及び教育関係者における男女共同参画の推進についての自主的な活動に対し、情報の提供、助言その他の必要な支援の実施に努めるものとする。

(相談への対応)

第18条 市は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する要因による人権の侵害に対し相談を受けたときは、関係機関と連携し、解決に努めなければならない。

第3章 宇陀市男女共同参画審議会

(宇陀市男女共同参画審議会)

第19条 男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、宇陀市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(所掌事務)

第20条 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議し、市長に答申する。

(1) 男女共同参画計画の策定及び変更に関すること。

(2) 男女共同参画計画に基づく施策及びその進捗状況に関すること。

(3) その他男女共同参画の推進に必要な事項に関すること。

2 審議会は、必要に応じ、前項に規定する事項について、市長に建議することができる。

(組織)

第21条 審議会は、委員15人以内をもって組織する。この場合において、市長がやむを得ない事情があると認めた場合を除き、男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満であってはならない。

2 委員は、次に掲げる者のうち男女共同参画の推進に関し識見を有する者から市長が委嘱する。

(1) 市民の代表者

(2) 各種団体の代表者

(3) 学識経験者

(4) その他市長が適当と認める者

(任期)

第22条 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員は、再任されることができる。

3 役職又は地位により委嘱された委員が、その職又は地位を退いたときは、委員の職を失うものとする。

(会長及び副会長)

第23条 審議会に会長及び副会長をそれぞれ1人置き、委員の互選によりこれらを定める。

2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。

3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(会議)

第24条 審議会の会議は、会長が招集する。ただし、会長が選出されていないときは、市長が招集する。

2 会議の議長は、会長がこれに当たる。

3 審議会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。

4 審議会の議事は、出席した委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。

5 会長は、必要に応じ、審議会に委員以外の者の出席を求め、その意見若しくは説明を聴き、又は必要な資料の提出を求めることができる。

(庶務)

第25条 審議会の庶務は、市民環境部人権推進課において処理する。

(運営事項の委任)

第26条 第20条から前条までに定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。

第4章 補則

(委任)

第27条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

附 則

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2 平成30年に策定された宇陀市男女共同参画計画は、第10条1項の規定により策定された男女共同参画計画とみなす。

(宇陀市の特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

3 宇陀市の特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(平成18年宇陀市条例第44号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

宇陀市男女共同参画推進条例

令和2年12月25日 条例第36号

(令和2年12月25日施行)

体系情報
第8編 生/第1章 社会福祉/第6節 人権施策
沿革情報
令和2年12月25日 条例第36号