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市政にかける想い(令和2年第3回宇陀市議会定例会所信表明)

令和2年9月3日陀市長金剛一智

本日、令和2年第3回宇陀市議会定例会を招集されましたところ、議員の皆様には、ご参集を賜り、誠にありがとうございます。開会にあたり、ご挨拶申し上げます。

8月の臨時議会で就任のご挨拶はさせていただいたものの、私の市政に対する思いを十分に述べることができませんでしたので、この場におきまして、今後の市政運営に向かう私の所信を述べさせていただきます。

改めまして、市民の皆様の力強いご支援とご厚情を賜り、市長の重責を担わさせていただくことになりました。使命の大きさを厳粛に受け止め、宇陀市政発展のため、全力で取り組んでまいります。宇陀市で仕事をさせていただくことに感謝と大いなる喜びを感じております。

宇陀市は記紀万葉の時代から栄え、大和平野や吉野とは異なる歴史文化を伝え、産業を営んできた実り豊かな、誇りある土地であります。しかしながら、現在は人口減少や少子高齢化が進行、市財政は市税など自主財源の割合が低く、一方で義務的経費や老朽化する施設の維持・更新費用の増加などで厳しさを増しています。また、農業では耕作放棄地面積が県内ワースト、商業では相次ぐ店舗の撤退、さらに、新型コロナウイルスが市民生活や経済活動に追い打ちをかけています。この状況に対して、4町村が合併した宇陀市には底力が十分にあるはずです。宇陀で活躍されている魅力的な方々にも多く出会うことができました。今こそ、将来を見据えた意義・目的が明確なビジョンを掲げ、立場を越えて「オール宇陀」としての実力を発揮すべき時であります。私自らも、「市民の暮らしや経済を下支えする」ために汗をかくシビルエンジニアとしての責務を改めて肝に銘じたいと思います。

市政の進め方

まず市政の進め方として、5つ述べたいと思います。

1.安定した行政
行政の混乱に終止符を打ち、安定した行政を実現いたします。市民の代表である市議会と緊張感をもちつつ建設的な議論ができる良い関係を築くため努力してまいります。決して市長の独りよがりにならず、民主主義を尊重してまいります。

2.情報の共有
様々な手段で的確に情報をお伝えすることで、市政への理解、信頼感、一体感の醸成などに努めます。また、市長として機会をとらえて地域の声をお聞かせいただきます。目の前の危機に立ち向かうためには関係者が情報を共有することが不可欠です。また、机の上ではなく現場で物事を考え行動する、現場主義で物事に当たってまいります。

3.エビデンスに基づいた事業展開
事業の計画・実施に当たっては、エビデンス(根拠)に基づいた説明力と判断力、タイミングを逸することのない行動力をもって取り組んでまいります。限られた財源を有効に活用するため、事業効果の分析と、選択と集中による事業展開に努めます。3万人の中規模都市という小回りの利く点を生かして、「さすが宇陀プロジェクト!」と評価されるようなモデル事業にチャレンジしてまいります。

4.職員の責務
本庁、出先機関、病院などすべての職員に対しては、どのようなポジションにあっても、市民の生活や地域を支えているという利他の精神で、責任感と厳しさ、誇りを持って行動することを求めます。
特に管理職には常にリーダーたるにふさわしい行動が必要です。最後は市長が責任を負う覚悟を職員に示すことで風通しの良い職場・活き活きと市民のために働ける職場をつくってまいります。

5.連携と協力
宇陀市を応援する方々と積極的に連携・協力してまいります。そのことで宇陀市の自主性が損なわれることはありません。国や県、近隣自治体、各種団体、企業、市民の皆様などの力を追い風にして、時代の要請に応え、未来を見通せる政策を前に進めます。今、国や県、企業などは新しくスタートした宇陀市に対し関心や期待を寄せて頂いていると感じています。ロート製薬に続き、先週には大塚製薬と連携協定を締結いたしました。この機を逃さず、市長を先頭に職員が努力を惜しまず宇陀市の良さ・強み・魅力を発信し、施策を展開してまいります。

そのうえで、目指すべき大きな目標として「大和高原の中心都市として存在感が強い、誇りと活気あるまちづくり」、そして「誰ひとり取り残さないまちづくり」を進めてまいります。

宇陀市は個々のポテンシャルは高いものがありますが、対外的に全体の印象が弱いと感じています。市外からの投資や移住定住、観光客を呼び込むためには関西の中で「宇陀市」の魅力・存在を強く光らせることが肝要であります。また、新型コロナウイルス感染により世の中の価値観が一極集中から地方分散へと大きく舵をきる動きが始まっています。企業や市民の方にとって、宇陀市のように大都市の近郊で、密でなく、災害の少ない安全な田舎、便利な田舎の価値が見直されています。

目標実現のための取り組み

次に、目標とする宇陀市実現のためになすべき取り組みについて、ご紹介させていただきます。

1.経済の活性化
高原野菜など農林畜産・毛皮革など商工業の地元産品を「大和高原宇陀ブランド」としてトップセールスでブランド戦略を展開します。地元企業の育成、企業誘致など働く場づくりを確保します。必要な土地利用計画・都市計画は市が積極的にコーディネートいたします。
国土軸であり流通の大動脈である名阪国道・国道165号など道路ネットワークの向上に国や県とともに取り組みます。安心して仕事ができる子育てしやすい環境、誰もが起業しやすい環境づくりを進めます。

2.賑わいの復活
宇陀の地域資源やストックを最大に活用し、賑わいと交流を創出します。県と連携協定を結んだ榛原、大宇陀、菟田野、室生で停滞しているまちづくりを推進します。歴史文化資源などによる従来の観光をさらに発展させるとともに、宇陀だからこそできる新しい観光として医療ツーリズム、あるいはスポーツツーリズムの展開など、宇陀市の資源をフルに活用する周遊・宿泊滞在型の観光に取り組みます。そのなかで美榛苑のあり方についても整理いたします。近隣自治体と連携して伊勢街道に光を当てます。花やカエデによる彩りづくり、城跡などの眺望景観づくりに取り組みます。子供のもり公園、山上公園、アニマルパークなど良質なストックの集客力を向上します。

3.健康長寿のまちづくり
市立病院は宇陀市の大きな強みです。県東部を代表する病院として県立医大などの協力も得て体制をさらに充実し、市立病院を核としたオール宇陀で医療・介護・健康に取り組みます。面倒見のいい地域ケアは「宇陀モデル」にあり!と評価されるよう注力してまいります。子どもから高齢者まで障害のある人もない人もともに健やかに暮らせるまちづくりが宇陀ならできると信じています。重症心身障がい児(者)の居場所づくりも県と協力して取り組みます。

4.農林畜産業の活性化
伝統的に実力のある産業です。さらに「大和高原宇陀ブランド」としてブランド戦略を展開します。県北部・東部地域で初めてとなる「特定農業振興ゾーン」を展開し、農地を有効に活用し、生産性を高めてまいります。森林についても県の森林環境管理の奈良モデルにのっとり、適切に管理し生産性を高めてまいります。健康で快適な暮らしを提供する宇陀産材の振興に努めてまいります。鳥獣対策の新しい取り組みとしてジビエ利活用を進めます。担い手確保のための職・住のコーディネートにも力を入れます。

5.子ども・女性・高齢者が元気なまちづくり
「三つ子の魂百までプロジェクト」として、就学前児童の育みを応援します。病児保育など安心して子育てしながら働けるまちづくり、子ども食堂に象徴される地域の力で子どもの育ちを支援するまちづくりを進めます。令和4年に開校する宇陀高校との幼保小中連携を図ってまいります。子どもは未来から預かった大事な宝です。「宇陀の子どもは知力・体力・学力の質が高い、助け合う力がある」と評価されるような、生きる力を育む教育環境づくりに取り組みます。女性活躍、高齢者の活動を応援することは当然の事であります。

6.住みやすい、住みたいまちづくり
大都市に近い高原都市の魅力を最大に発揮することで宇陀市への移住定住を促します。人権を尊重し多世代・多様性共生のダイバーシティーのまちづくりを進めます。宇陀市は県内でも地域のつながりが強い土地柄です。ご近所づきあいの力であるソーシャル・キャピタルを新たな公共として応援します。病院や買い物など暮らしのニーズに合った多様な移動手段を確保します。成熟し高齢化が進むニュータウンを再び活気あるまちにするために先進事例を研究し取り入れてまいります。

7.持続可能なまちづくり
まず、直面するコロナ対策に注力します。ウイズコロナ、アフターコロナを意識し、当たり前の日常生活や経済活動ができるまちづくりを行政が全力でサポートします。広域消防力の強化、自然災害への備えなど危機管理体制の充実・まちの強靭化に取り組みます。これまでの慣例に甘んじることなく市民サービスに努めてまいります。公共施設・市有地など市が抱える資産はストック・マネジメントにより効果的な整理・活用を行い、また、国や県、近隣市町村、民間の力を活用することなど財政負担の軽減を図り、未来に負担を先送りすることのないよう行財政改革を進めてまいります。ただし、厳しい状況においても未来への必要な投資は行い、希望が持てる持続可能な地域づくりを推進します。

今定例会で補正予算として肉付けをするものは約8億5千万円であります。後ほど詳しくご説明いたしますが、多くは直面する新型コロナ対策や、財政再建のための調整基金への積み立て、災害復旧事業、ライフラインの維持修繕事業に予算を計上しています。加えて、新たに1.テレワークや移住を促す拠点づくり、2.大和高原宇陀の東京・大阪でのプロモーション、3.新しい周遊・滞在型観光の推進、4.宇陀市産木材のキャンペーン、5.ジビエ利活用プロジェクト、6.情報化による教育環境の向上、7.職員の事故を教訓とした職場風土の改善などマニフェストの一部についても予算計上させて頂きました。一方、マニフェストにあって今定例会では予算化していないものは、令和3年度当初予算計上に向けて県などとも連携しながら現在、準備を進めています。待ったなしの危機的な状況のなかで、課題から目をそらさず、この2年間の行政の停滞を取り戻し、宇陀の存在感が光る持続可能な地域づくりを進めてまいります。まちづくりには、お金をかけなければならない事業と、お金をかけなくてもできる事業があります。お金が無いことを理由に思考停止することなく知恵を出して取り組んでまいりたいと思います。

「宇陀ならできる」「宇陀にしかできない」「宇陀はもっと良くなる」と宇陀市の可能性に賭けて、これからの市政運営に取り組んでまいります。多くの困難は覚悟しております。何卒、市議会並びに市民の皆様のご理解・お力を賜りますことをお願い申し上げまして、開会にあたっての挨拶とさせていただきます。(以上)

 

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