○宇陀市障害者コミュニケーション条例
令和2年3月24日
条例第5号
全ての市民が、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加し、心豊かに生活していくためには、障害の有無により分け隔てられることなく、豊かなコミュニケーションが図られることが重要である。
障害者基本法において、全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られることが求められている。
しかしながら、障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段に対する理解及びそれらを利用するための環境の整備は十分に整えられていないのが現状である。
ここに、宇陀市は、障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段の普及及び利用の促進を図り、障害者が、障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段を用いて、容易に情報を取得し、又は利用し、及びコミュニケーションを図ることのできる機会を拡大することにより、全ての市民が、障害の有無により分け隔てられることなく、相互に人格及び個性を尊重し合いながら暮らしていける地域社会を実現するため、この条例を制定するものである。
(目的)
第1条 この条例は、障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段の普及及び利用の促進に関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、市の施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的事項を定めることにより、障害者の情報の取得又は利用及びコミュニケーションの機会の拡大を図り、もって全ての市民が、障害の有無により分け隔てられることなく、相互に人格及び個性を尊重し合いながら共に暮らすことのできる地域社会を実現することを目的とする。
(1) 障害 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)、難病その他の心身の機能の障害をいう。
(2) 障害者 障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
(3) 障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段 言語(手話を含む。)、触手話、要約筆記、筆談、字幕、点字、指点字、音訳、拡大文字、代読、代筆、平易な表現、絵図、記号、身振り、手振り、重度障害者用意思伝達装置、パーソナルコンピュータ等の情報機器その他の障害者が情報を取得し、及びコミュニケーションを行う際に必要な手段として利用されるものをいう。
(4) 社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
(5) コミュニケーション支援者 手話通訳者、要約筆記者、点訳者、音訳者、盲ろう者通訳・介助員その他障害者の情報の取得又は利用及びコミュニケーションについて支援を行う者をいう。
(基本理念)
第3条 障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段の普及及び利用の促進は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
(1) 障害者が有するコミュニケーションを円滑に図る権利は、最大限尊重されること。
(2) 全ての市民が、障害の有無により分け隔てられることなく、相互に人格及び個性を尊重し合うことが重要であること。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、障害者が日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるよう、障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段の普及及び利用の促進に関する施策を推進するものとする。
(市民の役割)
第5条 市民は、基本理念に対する理解を深め、障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段の普及及び利用の促進に関して、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段の普及及び利用の促進に関して、市が推進する施策に協力するよう努めるとともに、障害者が障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段を利用するための合理的配慮(個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の表明があった場合に、障害者の権利利益を侵害することとならないよう実施する必要かつ合理的な取組であって、その実施に伴う負担が過重でないものをいう。)をするよう努めるものとする。
(施策の推進方針等)
第7条 市は、障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段の普及及び利用の促進を図るため、次に掲げる施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。
(1) 障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段の意義について理解を促進するための施策
(2) 障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段を選択し、利用しやすい環境の整備のための施策
(3) コミュニケーション支援者を確保し、及び養成するための施策
(4) 市民又は事業者による市内における障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段の普及及び利用の促進のための自主的な活動に対し、情報の提供、助言その他の必要な支援をするための施策
(5) その他障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段の普及及び利用の促進のために必要な施策
2 市は、前項の施策の推進に当たっては、障害者、コミュニケーション支援者その他関係者の意見を聴くため、これらの者と協議する場を設けるものとする。
(財政上の措置)
第8条 市は、障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段の普及及び利用の促進に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(委任)
第9条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
この条例は、令和2年4月1日から施行する。