○宇陀市手話言語条例
令和元年12月20日
条例第39号
言語は、意思疎通を図り、知識を蓄え、文化を創造する上で不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきた。手話は、音声言語である日本語とは異なり、手や指、体の動き、顔の表情を使って視覚的に表現する言語である。
ろう者は、物事を考え、コミュニケーションを図り、お互いの気持ちを理解し合うため、また、知識を蓄え、文化を創造するため、必要な言語として手話を大切に受け継ぎ、育み、発展させてきた。
こうした中、障害者の権利に関する条約や障害者基本法において、手話は言語として位置付けられた。
宇陀市は、手話が言語であるとの認識に基づき、市民の手話に対する理解を深めるとともに、手話の普及等を図ることにより、ろう者が地域や職場で安心して生活できる環境を整え、宇陀市民憲章に定める共に支え合い、互いの尊厳を大切にする、あたたかいまちを創るため、この条例を制定するものである。
(目的)
第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解の促進及び手話の普及に関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策の総合的かつ計画的な推進に必要な基本的事項を定め、全ての市民が互いに理解し合い共に暮らすことのできる地域社会を実現することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「ろう者」とは、聴覚に障害を有する者のうち、手話を言語として日常生活又は社会生活を営む者をいう。
(基本理念)
第3条 手話に対する理解の促進及び手話の普及は、手話は言語であること、並びにろう者はより豊かな生活及び人間関係を築くため、手話によりコミュニケーションを円滑に図る権利を有し、その権利は尊重されることという基本的な認識の下に行われなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念にのっとり、市民に対して手話に対する理解の促進及び手話の普及を図るとともに、手話を必要とする市民にとって手話を使いやすい環境の整備を推進するものとする。
(市民の役割)
第5条 市民は、手話に対する理解を深め、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、ろう者が利用しやすいサービスを提供するとともに、ろう者が働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。
(施策の策定等)
第7条 市は、次に掲げる手話に関する施策を策定するものとする。
(1) 手話に対する理解及び手話の普及を図るための施策
(2) 手話による情報を取得しやすい環境及び手話を使いやすい環境の整備その他のろう者の社会参加の機会を拡大するための施策
(3) 手話通訳者の配置及び派遣その他の手話による意思疎通を支援するための施策
(4) その他市長が必要と認める施策
2 前項の規定による施策の策定に当たっては、障害福祉に関する市の計画と調和を保たなければならない。
3 市は、第1項の規定により策定した施策の実施に当たって、ろう者、手話通訳者その他関係者の意見を聴くため、これらの者と協議する場を設けるものとする。
(財政上の措置)
第8条 市は、手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(委任)
第9条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
この条例は、令和2年4月1日から施行する。